
2025年5月1日より期間限定上映中の、スーパー戦隊シリーズのVシネマ「爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー」を視聴してきました。
見てみたかった夢の競演や、解釈一致なシーンが高密度に詰め込まれていて、まさにバクアゲな1時間でした。
内容のネタバレにも触れますが、それでもネタバレになりすぎない範囲で感想を語っていきます。
※ある程度「知っている」方が読む前提で書いているので、登場キャラクターや用語に関する注釈は特に行いません。
爆上戦隊ブンブンジャーについて
爆上戦隊(ばくあげせんたい)ブンブンジャーは、2024年3月3日から2025年2月9日にかけて放送された、スーパー戦隊シリーズの48作目です。戦隊側のマシンやキーアイテムが「車」の、いわゆる「車戦隊」です。
ここ数年のスーパー戦隊シリーズはイロモノ揃いでした。ゼンカイ脳のゼンカイジャーと、ドンブラ中毒のドンブラザーズは言わずもがなですが、キングオージャーも(ファンタジー作品としては王道ながら)スーパー戦隊として考えるとかなりの異色作でした。そして、2025年現在放送中のゴジュウジャーも、歴代レッド戦士の(姿だけですが)客演するお祭り作品なうえに、既にアクの強いキャラたちがトンチキなことをやっているので、イロモノ認定はもはや避けられません。
そんなイロモノたちに挟まれたブンブンジャーは、久しぶりに「現代の地球を舞台に、戦隊が悪の組織による侵略を阻止する」という展開が描かれた、戦隊ものの王道ともいえる作品でした。「自分のハンドルは自分で握る」という言葉を徹頭徹尾重要な軸として、メンバーたちが互いを信頼し、互いの為すべきことを為し問題に立ち向かっていく姿が毎週爽やかに描かれていました。時折謎のトンチキ野球やトンチキサッカーを始めたりもしましたが。
スーパー戦隊に限らず仮面ライダーもそうですが、特撮作品は子供が主要なターゲットでありながら、ドラマが骨太なので大人が見ても楽しめますね。例えばブンブンジャーではメンバー間の関係性が「それぞれのスタンスに干渉せず、信頼して見守る」という、さながら「職場での大人同士の人間関係」であり、前述のように「自分のハンドルを自分で握る(=自分の確固たる意志と信念のもとに、本当に為すべきことを為す)」ということが一貫して描かれていました。メンバーがバラバラになっていても、各々が自分のハンドルを握っていれば、自ずとチームとして目指すべき最善の方向へ向かえるという寸法です。最終盤の絶望的な展開も、ブンブンジャーの各々が自分のハンドルを握っていたからこそ打開できたと言っても過言ではありません。
……映画の感想を書き始める前に、ブンブンジャーについて語るパートだけで既に1000字近く使ってしまいました。そのぐらいブンブンジャーが好き、ということで。ここから映画の感想を語っていきます。
よかった!(語彙力)

というわけで、名古屋駅の近くにある「109シネマズ名古屋」まで行ってきました。
テレビの前で視聴する分はともかく、映画館まで行くのは少しばかり照れくささがあったんですよ。32歳は、スーパー戦隊を見ている息子や娘が居てもおかしくない年齢なわけで。「ちびっ子が見に来ているであろう劇場で浮くんじゃないかな」とか「主役のちびっ子を差し置いて出しゃばるのは気が引けるな」とか、いろいろ考えていたのですが、蓋を開けると普通に「大友」もいっぱい見に来ていました(笑)なんなら若いカップルも見に来ていたし、隣の席には若い女の子がリタ様の推しぬいを持って座ってましたからね…。よかった。安心して楽しめそうです。

1時間強の上映時間が終わって真っ先に感じたのは、とにかく「よかった!」の一言です。冒頭でも述べたように、見たかったものを全部お出しされました。王様たちとブンブンジャーの交流に、サンシーターのその後の動向に、べろーらーちゃんのみならずブンドリオにも萌えるリタ様に、互いが互いを認め合う展開に、ギラの為政者としての成長に、ブンドリオとビュンディーも含めた全員での名乗りに、本編で若干唐突だと思った要素の掘り下げに(ブンドリオに埋め込んだミラーボールのことです)、先斗が卒アルの「欠席者」みたいなワイプ処理されていない、全員でのコツPONダンス…。いやぁ、どれもこれも解釈一致でした。今回、脚本を担当したのがブンブンジャー側のメイン脚本家の富岡淳広さんで、キングオージャーの高野水登さんはノータッチだったのですが、富岡さんの王様たちの理解度が高すぎました…!
王様たちが守った「チキュー」(地球とは名前が同じだけの別の惑星)は、全員で団結して宇蟲王ダグデドの脅威を払い、これから王様たちの治世で平和な日々を築いていく、希望に満ちたものであるのに対し、ブンブンジャーが守った「地球」(我々が住むのと同じ現代の地球)は、今なお戦争や貧困などに起因する悲鳴が絶えない世界です。(だからスピンドー様に目を付けられたわけなのですが。)対照的だった「チキュー」と「地球」の話を聞き、ギラと大也が各々の世界を良くしていくための決意を新たにしていくというあたりに、この映画の真骨頂を感じました。
個人的に一番熱かったのが、要所で光ったサンシーターの活躍ですね。ブンブンジャー本編では長きにわたりブンブンジャーの敵だったサンシーターは、下っ端としての誇りを持ち、下っ端を使い潰そうとするハシリヤンの姿勢に対し反旗を翻すという形で、自分のハンドルを自分で握りました。なので、本編後の時系列であるこの映画では、完全にブンブンジャーの味方として活躍していました。
(体は頑丈だとは思いますが)戦力としてはブンブンジャーに、そしておそらくはキングオージャーにも敵わないであろうサンシーターでしたが、決して単なる賑やかしでは終わりませんでした。デコトラーデは愛用の「大ゼッキョーマイク」(=ハシリヤンの技術)が、地球ではなくチキューに飛ばされたギラと大也にシャーシロ達が連絡を取るための決め手となりましたし、イターシャも得意のスリでニコーラ女王の大切なペンダントを敵から奪還しました。(ついでにヒメノ様と共同でミラにコスプレさせたのもGJ!)
デコトラーデとイターシャの活躍にも唸ったのですが、何より一番唸らされたのはヤルちゃん、もといヤイヤイ・ヤルカーの活躍ですね。彼はなんと、シュゴッダムの民からギャーソリンを絞り、ハイウェイ光線でチキューから地球へと続く道を作ったのです。これってほぼほぼ、ハシリヤンがブンブンジャー劇中で行っていた悪事そのものなんですよ!
……ただし、今回ヤルちゃんがギャーソリンへと変えた悲鳴は、ギラが「邪悪の王」としてシュゴッダムの民を鼓舞して上げさせた、いわゆる「黄色い悲鳴」でした。この黄色い悲鳴からできたギャーソリンには、ギラと大也を地球まで送り届けるのに十分なエネルギーがあったどころか、ヤルちゃんをして「いつものギャーソリンと違うカー!」と言わしめるほどに性質の良いものだったわけです。ヤルカー族はその存在目的が目的なだけに、ギャーソリンを集める生態があるので「ハシリヤンから離反した後はヤルちゃんのエネルギーってどうなるんだろう?」と思っていましたが、その疑問にも答えが出たわけです。サンシーターはきっとこれから、ヤンマ総長の下で治世を学びながら、人々の歓喜の悲鳴をギャーソリンへと変えて生きていくのでしょう。
デコトラーデのマイクにせよ、イターシャのスリ技術にせよ、ヤルちゃんのギャーソリンとハイウェイ光線にせよ「悪のために使われていた技術が、改心後に何かを守ったり助けたりするために使われた」というわけなので。それがとにかく熱かったです。
「リタ様があれだけ体を張って封じたミノンガンがなんでしれっと蘇ってんだよ!?」とか「大也とブンドリオには十分な信頼関係があるとはいえ、暴走を鎮めるのに顔面にグーパンいくかね!?」とか「先斗はエンディングでヤンマ総長とメンチ切り合ってるシーンがあったけれど、できれば本編で先斗と王様の誰かが絡んでるシーンを見たかった!」とか、若干気になった要素も無かったわけではないですが、登場したキャラクター全員に良い見せ場があった、ブンブンジャーとキングオージャーの共演として最高のものを見せてもらえたと思います。
最高にバクアゲな時間でした!
(おまけ)ナナちゃんがすごいことに…。

名駅から109シネマズへ行くためにナナちゃん像の前を通るのですが、ものすごいことになってて笑っちゃいました!
うんこ、て!
ららぽーと名古屋みなとアクルスにオープンした「うんこミュージアムNAGOYA」の宣伝なのはわかりますが…もうちょっと仕事は選んでもいいんだよ!!
うんこミュージアムのほうはまた近いうちに訪問し、メインブログで取り上げたいところです。